ホテル・ブライダル業界の転勤は少ない傾向ではありますが、規模によっては異動や転勤が多くなります。命じられた人事異動や転勤が自分の意向に沿わない場合、従業員側から断ることはできるのでしょうか。
結論から言うと、原則的には断ることができません。ただ、拒否できるケースもあります。今回は、拒否できる理由とどうしても断りたいときにできることをご紹介していきます。
ホテル・ブライダル正社員求人
目次
人事異動や転勤は断れない
全国展開しているような大手の系列では、同じホテル内・ブライダル施設内でのセクションの異動や、転勤を命じられることがあります。ただ、異動や転勤が希望通りにいくとは限りません。どうしても異動や転勤がいやだと思った場合に、拒否することができるのかと考えたことのある方は少なくないでしょう。
どんな企業でも、従業員の地位や処遇を決定する権限を持っており、異動や転勤は原則拒否することができません。就業規則に「業務の都合により配置転換や転勤を命じることがある」と記載されている場合、人事異動や転勤を断ってしまうと「業務命令拒否」とみなされて懲戒解雇されてしまう可能性があります。
ただ、絶対に断れないというわけではありません。このあとご紹介する、いくつかの「正当な理由」にあてはまれば断ることができます。
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人事異動や転勤を拒否する前に
人事異動や転勤のタイミングによっては、どうしても断りたいということもあると思います。ただ、拒否する前に、確認しておきたいことが3つあります。この3つのどれかに当てはまった場合は、人事異動について会社と交渉することができるかも知れません。
急な人事異動や転勤の命令で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
①人選の基準・異動の必要性を確認する
まずは人事異動が本当に必要なのか、自分が選ばれた理由や人選の基準など「人事異動の根拠」を人事担当者に確認してみましょう。自分が選ばれたことに納得できない、人事異動の必要性がわからない場合は、そのことも合わせて伝えるといいでしょう。
会社の意向を確認した結果、納得できるかも知れません。例えば、人事異動や転勤での成長を期待されていたり、将来のキャリアプランに関わる目的がはっきりしたりすることもあります。
②就業規則に人事異動の規定があるか確認する
就業規則に人事異動や転勤についての記載があるか、確認しましょう。職種や勤務地が限定されている、転勤がないと記載されている場合の転勤命令は無効となります。
このような場合、原則的に本人の同意がなければ会社側が契約違反をしていることになります。また、異動を拒否した場合でも待遇を下げたり解雇したりすることはできません。
③人事異動を断りたい理由をはっきりさせておく
人事異動を断りたい理由を具体的に整理しておきましょう。「今までと環境が変わるのが嫌」というような感情的な理由ではなく、会社側も納得できる正当な理由を用意しておくといいですよ。
結果的に異動することになったとしても、配慮をしてもらえる可能性もあります。当たり前ですが「嘘をつかない」ということに気を付けましょう。
また、単なるわがままだと思われないように、冷静に伝えられるような話し方の工夫も必要です。
ホテル・ブライダル業界では、全国に展開している大手企業の場合は転勤の可能性が高いですが、ワークライフバランスを考えてエリアを限定した採用を行う企業も多くなってきています。
将来的にも転勤はしたくないということであれば、全国展開していない・転勤がある場合もエリア限定等の配慮がある・妊娠出産後に配慮を受けられる企業であるかどうかを入社前にしっかり確認しておきましょう。
人事異動や転勤を断れる「正当な理由」
人事異動や転勤のような業務命令は、正当な理由がなければ、原則として断ることができません。では、どんな理由があれば断ることができるのでしょうか。ここでは、人事異動や転勤を断れる正当な理由を4つ、ご紹介します。
①人事決定権を濫用している
人事決定権の濫用とみなされるような異動命令は、拒否することができます。
気に入らない社員を慣れない仕事や重要ではない仕事に異動させることによって、自主退職に追い込もうとするなどの嫌がらせ行為が明らかな場合は、不当性があるため拒否できます。
ただ、この不当性を明らかにするために、立証する根拠を集めなくてはいけないので、難しいことの方が多いのが現実です。
・性格が合わないという理由で異動や転勤を命じられた
・内部告発をした結果、異動や転勤を命じられた
上記のような事例の場合は、人事権の濫用とみなされる可能性はありますが、異動や転勤に不当性がないかどうか判断するために、客観的に見ても業務上必要がないと判断できるものが必要になります。
会話などを録音したデータがあると十分な証拠になりますが、ない場合はこれまでの業務経験などを踏まえて、本当に必要のある異動なのかどうかを判断しなくてはいけません。
業務で使用しているチャットの履歴や同僚の目撃情報、言われた内容などを日記やメモに詳細に記録しておくことも有効です。日常の記録をするのと合わせて書いておくといいですよ。
②雇用契約書の内容と異なる
入社時に取り交わした雇用契約書に記載されている内容と異なる人事異動や転勤は拒否できます。
地域や職種が限定された採用や、雇用契約書に人事異動や転勤がないと記載されている場合は会社が契約違反していることになります。異動や転勤をしたくないと思っている方は、入社時に契約内容をしっかりと確認しましょう。
③避けられない事情がある
避けられない事情がある場合も、拒否できます。ただし「避けられない事情」として認められるのは、転院が難しい病気の家族がいる・要介護の両親がいて、実家のそばから離れられないという本当にどうしようもない理由に限ります。
単身赴任したくない・子供を転校させたくないという個人的な理由は、認められないと思っていたほうがいいです。また、やむを得ない事情があったとしても会社の配慮があるかどうかは別なので、負担の度合いによっては拒否できないこともあります。
④人事異動により給与が下がる
人事異動に伴う給与の引き下げは認められていません。
業務内容に応じて給与体系が異なる場合は変動がありますが、従業員の不利益となるような大幅な減給は異動命令そのものが違法となる可能性もあります。
給与の引き下げには従業員本人の同意が必要になります。ただ、担当の業務が変わることで、今までついていた手当てがなくなる場合は、給与の引き下げには該当しません。
部署異動により手当てがなくなり、給与が下がって生活が苦しくなるようであれば、転職を検討したほうがいいでしょう。
人事異動・転勤で得られるメリット
人事異動や転勤で、自分自身が得られるメリットがいくつかあります。今回は3点ご紹介しますね。
①視野を広げられる
同じ業務を続けていると、特定の分野での知識は深まっていきますが、仕事の進め方や考え方は職場独自のものが中心となるので、視野が狭くなってしまうことがあります。転勤をすることで、新しい環境の中で様々な業務を経験を積む機会が得られますよね。
業務内容が変わらない場合でも、環境が変わった新しい職場ではまた別のやり方や考え方に触れることができます。こうした経験が自身の成長を促し、モチベーションの維持や視野を広げることにつながります。
②全国に人脈ができる
転勤を経験することで、社内外の知り合いが増え、全国にわたって人脈を築くことができます。自分では気づけない視点や新たな切り口を発見できたり、ビジネスチャンスの拡大につながったりするメリットもあります。
たとえば、新しいホテルやブライダル施設が立ち上がる際には、全国から多様な人材が集まることがあります。このような場面で、全国に人脈を持つ人は各地でのつながりをいかせる重要な存在として信頼されます。
③各地の知識と経験が得られる
全国転勤がある仕事では、人脈づくり以外のメリットもあります。各地での業務を通して、地域特有の知識や経験を得ることができ、それがスキルアップにつながります。
ホテル・ブライダル業界でも、地域ごとに来られるお客様の目的は変わってきますよね。地域ごとの状況に触れながら経験を積むことが仕事の幅を広げ、どのような環境にも対応できる力を身に付けられます。
また、転勤先の伝統文化などに触れ、今まで住んでいた地域との違いを楽しめることも魅力の一つです。
人事異動や転勤を命じられたら…?
人事異動や転勤を拒否できる理由・メリットなどをご紹介してきました。会社側に落ち度がないか、よほどの事情でない限りは拒否できないということがわかりましたね。では、自分の希望に沿わない人事異動や転勤を命じられたらどうしたらいいでしょうか。
今回はそんなときにできることを、2つご紹介します。
①キャリアアップのチャンスととらえる
異動や転勤の命令に正当性があれば、まずは前向きに考えてみることをおすすめします。「自分には合わない」と思ったり「絶対に無理」と決めつけたりしてしまうと、自分自身の可能性やチャンスをつぶしてしまうことになりかねません。配置転換は企業や従業員の成長のために、合理的に判断した結果でもあります。
意に沿わない異動や転勤であったとしても、とりあえずやってみることで、今まで気が付かなかった可能性が広がってくるかも知れませんよ。
②どうしても無理なら転職を検討する
前向きに頑張ってみようとしたけど、向いていなかった。精神的に病みそうなほどに頑張りたくないと思った場合は、身動きが取れなくなる前に動き出しましょう。どうしても今の会社でなくてはいけない理由がなければ、早めに転職を考えたほうがいいです。
人事異動はキャリアの振り返りや見直しのチャンスです。転職すると決意したら、仕事をするために重視していること(年収・勤務地・勤務時間など)の優先順位をつけて、後悔のない転職を目指しましょう。
ホテル・ブライダル業界は、中途採用を積極的に行っています。特に経験者であれば歓迎されるので、異動先や転勤先よりもいい条件で働ける可能性が高いです。
ただ、業務命令に納得できずに退職した場合は「自己都合」での退職扱いになり、失業手当が受給できるまでに3ヵ月の待機期間ができてしまいます。辞めた後も損することがないように、転職活動は計画的に行っていきましょう。
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人事異動や転勤などの業務命令は、やむを得ない事情がない限りは断れません。どうしても受け入れることができない場合は、転職を視野に入れて動きましょう。
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