ホテルにおけるインスペクションは、客室清掃の仕上がりの最終確認をする工程のことを言います。清掃ミスの防止や、サービスの品質を一定に保つために、チェックリストや清掃マニュアルは欠かせないものです。
この記事では、インスペクションの際に使えるチェックリストの一例をご紹介していきます!
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目次
ホテルのインスペクションはどんな仕事?

「インスペクション」とは、英語で検査や点検を意味しており、ホテル業界では客室清掃後の最終確認のことを指して使われています。ルームインスペクションと呼んでいるホテルもあり、このインスペクションを行うスタッフのことをインスペクターと呼びます。
客室清掃の時間には限りがあり、チェックアウトからチェックインまでの短い時間の中で行っています。客室清掃のスタッフは、スピードだけではなく、正確さも求められています。
清掃の質が安定しなければ、クレームの原因になり、結果としてホテルの評判や顧客満足度にも影響してしまいます。そのため、客室清掃においてインスペクションはとても重要な役割を担っているのです。
客室の清掃状態を確認し「この部屋でお客様をお迎えしても大丈夫か」という判断をするのがインスペクションの目的です。もし清掃に不備が見つかれば、スタッフに修正してもらい、客室を万全の状態に整えます。
インスペクションは、単にチェックするだけの業務ではありません。確認項目は細かく多岐にわたり、客室清掃と同じく短い時間で複数の部屋を周る必要があるため、集中力や体力が求められる大変な仕事です。また、ミスを見逃してしまった場合、その不完全なお部屋をお客様に提供することになってしまうため、責任も伴う重要なポジションです。
ホテルによっては、インスペクターとは別に「チェッカー」という役職を設けている場合もあります。チェッカーはすべての部屋を確認するわけではなく、ランダムにピックアップしてチェックしています。ランダムであれば負担が軽いと思ってしまうかも知れませんが、チェッカーはインスペクターとは違い「お客様目線」で清掃の確認をしています。
例えば、実際にバスタブの中に横たわって見える範囲がきちんと清掃されているかなど、お客様の視点でチェックします。
このように、インスペクションをはじめとする客室のチェック体制は、ホテルのサービスの品質を支えている大切な要素の一つです。細部まで気を配ることで、清掃の仕上がりのばらつきを防ぎ、お客様に快適な空間を提供します。
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インスペクションがチェックすること

どれだけ真面目に丁寧に作業をしていても、清掃ミスや確認漏れをすべてなくすことは難しいです。ただ、そのミスは「作業を急ぎすぎてしまう」「覚える項目が多すぎる」そして「チェックする視点が偏っている」ことによって起きやすいです。このような状況で、特に見落としやすいポイントをご紹介します。
- ベッドや家具の下に残った埃やごみ
- 壁の低い位置に付着したスーツケースのこすれ跡
- 鏡に残った拭きムラや指紋
- エアコンの吹き出し口の埃
- カーテンレールや窓枠の上にたまった埃
- ゴミ箱に袋がセットされていない、またはごみが残っている
見落としがちな細かい部分を意識してチェックするために、インスペクションにはチェック項目が整理されたマニュアルがあると便利です。日々の清掃作業を記した清掃マニュアルと、仕上がり確認のためのインスペクションマニュアルの2つを併用することで、作業とチェックの視点を揃えやすくなりますね。
客室清掃の質を安定させるために

インスペクションマニュアルは、清掃後の客室を一定の品質で整えるために欠かせないものです。誰が確認しても同じ目線でチェックできるように基準を統一することで、スタッフ間のばらつきを防ぎ、それが安定したサービスの提供につながります。
ただし、マニュアルは一度作れば完成というものではありません。現場の状況や設備の変更、新しい気づきなどに応じて、定期的な見直しや更新を重ねることで実際の業務によりフィットした内容へと進化させることができます。
清掃ミスの防止やお客様に安心して快適に過ごしていただくための環境づくりのためにも、積極的にマニュアルの作成や改善を進めていきましょう。
インスペクションのマニュアルについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください!↓
ホテルのインスペクションマニュアルが必要な理由とは? 現場で活かす作り方!
インスペクションに必要なスキル

客室清掃およびインスペクションは、基本的にマニュアルに沿って行われます。しかし、業務をスムーズに進めながら安定したサービスを提供するためには、スキルも必要になってきます。
ここでは、インスペクションを行う際に求められるポイントをいくつかご紹介していきます!
客室清掃の実務経験
ホテルや清掃を請け負っている会社によっては、直接インスペクターとして採用されることもありますが、客室清掃の経験があると現場での対応力や指導に対しての説得力がぐんと高まります。
実際に客室清掃の経験があると、清掃スタッフの気持ちを理解して接することができるため、より効果的にコミュニケーションが取れるようになりますよ。
手際の良さと丁寧さ
インスペクターは、一人で複数の客室を担当してチェックしています。限られた時間の中で丁寧にチェックし、見落としのないように終わらせるために手際の良さが求められます。はじめは時間がかかっても、正確さを意識してチェックすることが大切です。慣れてくることで自然とスピードも上がり、部屋全体を見ただけで不備の有無が確認できるようになることもあります。
正確に、かつスピード感も意識して仕事をすることにやりがいを感じられる人にはぴったりのお仕事です。
状況に応じた指導力
客室清掃に不備があった場合、その場でスタッフに伝えて改善してもらわなくてはいけません。伝え方がとても重要で、言い方ひとつでスタッフのやる気を高めることもあれば、逆にモチベーションを下げてしまうことになりかねません。
中には、指摘されることで気を悪くし、清掃の質が下がってしまうようなケースもあるため、言葉選びには細心の注意が必要です。とはいえ、限られた時間内に効率よく指導するには、スタッフに対する思いやりと厳しさのバランスを取りながら、相手に合わせた対応が求められます。
観察力
インスペクターは部屋の隅々まで目を配り、細かなところまでチェックする力が求められます。小さな埃や髪の毛、見落としてしまいそうな小さな傷も見逃さないことが大切です。
経験を重ねることで、目の前の部屋と完成した部屋との違いを見抜けるようになり、より効率よく作業を進められるようになります。
計画性
インスペクションではチェック項目が多岐にわたっているため、ドア周りや水回りなど、場所ごとに確認する方法や埃や髪の毛を取り除いたり、破損確認をしたりと、自分に合った計画を立ててから作業すると、効率よく進めることができます。
そのため、計画を立てることが好きな方や、日常的に計画を意識して行動することが習慣になっている方には向いています。
インスペクションは「縁の下の力持ち」
今回は、インスペクションの仕事内容やチェック項目についてご紹介してきました。チェック項目の細かさはもちろんですが、見落としがちな部分をしっかりチェックするインスペクションがいるからこそ、ホテルの客室清掃のクオリティが保たれています。
客室清掃は、未経験の方でも始めやすい職種のひとつです。ホテルで働いてみたいけど、接客が得意でないという方にもおすすめです。
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