ホテルのインスペクションは、客室清掃の仕上がりを確認する大切な工程の一つです。清掃ミスの防止やサービスの質を保つために、チェック項目をまとめたインスペクションマニュアルの存在が欠かせません。
ここでは、現場で使いやすいマニュアルの作り方や誰にでも分かりやすく伝えるためのコツをご紹介していきます!
インスペクションの仕事内容についてはこちら↓
ホテルのインスペクションの仕事内容は? 必要なスキルもご紹介!
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目次
インスペクションマニュアルを作るメリット

客室清掃のあとに行う最終確認の工程がインスペクションです。このチェックが入ることで、清掃の品質を一定に保ち、見落としやミスを防ぐことにつながります。
ここでは、そのインスペクションを行うために欠かせないマニュアルをつくるメリットについて解説していきます。
チェック基準を統一する
業務に関わる人が増えていくと「どこまでチェックすれば問題ないか」という基準が、スタッフによって異なってしまうことがよくあります。経験豊富なスタッフには当たり前のことでも、新人には伝わっていなかったり、解釈が違ったりすることも少なくありません。
そんなときに、インスペクションマニュアルがあれば、誰が担当しても同じ基準で確認ができる体制を作れます。口頭だけの説明では伝わりにくい細かなポイントも、マニュアルに整理して共有することで、チーム全体の共通認識にすることができますよね。また、清掃マニュアルと合わせて内容を共有することで、日々の清掃作業と点検の基準をすり合わせられます。
どの作業がどの程度できていれば合格なのか、何をどのようにチェックすればいいのかがはっきりすることで、清掃の質も安定して維持できるようになります。
言葉では伝わらない内容も補える
新人教育にはOJT(現場教育)を取り入れているところが多いですが、教える人によって説明に差ができてしまったり、伝え漏れてしまったりすることがあります。そんなときに役に立つのが、インスペクションマニュアルです。
細かいチェック方法や注意点を一つひとつ記載しておけば、OJTだけではカバーしきれない部分をフォローできます。その結果、教わったけどやり方が曖昧になっていたことや、人によって説明が違うという不安を減らすことができ、自信をもって作業できる環境が整います。
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チェックポイントの一例をご紹介

インスペクションで確認している内容は、ホテルの設備や客室のタイプによって異なります。中には、数百項目にもなるチェックリストく用意しているホテルもあります。ここでは、そのチェックリストの一部を紹介していきます。
ドアまわり
- ルームナンバーのプレートに汚れ・傾きがないか
- ドアの開閉はスムーズか
- ロックは正しく作動しているか
- ドアスコープに汚れはないか
クローゼット
- 扉の開閉はスムーズか
- 棚や床に埃やごみが残っていないか
- ハンガーの数や種類、向きは揃っているか
- 忘れ物が残っていないか
水回り
- 蛇口や鏡に水垢や汚れ、拭き跡が残っていないか
- 壁面に手垢や黒ずみがないか
- ドライヤーが正常に作動するか
- 髪の毛が落ちていないか
客室全体
- ベッドメイクが整っているか、シーツにシワや汚れがないか
- リネンに髪の毛や埃がついていないか
- アメニティの種類や数が正しく配置されているか
- 照明・テレビ・冷蔵庫の電化製品が正常に作動するか
- ごみ箱やサニタリーボックスが空で、新しい袋がセットされているか
今回紹介したリストはほんの一部なので、実際はもっと細かく確認していきます。限られた時間で効率よく業務をこなしていくためにも、マニュアルは欠かせないですよね。
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インスペクションマニュアルの作り方のコツ

インスペクションマニュアルは、単にチェック項目を並べるだけでは実際の現場ではうまく使えないことがあります。
大切なのは「誰が見ても理解できること」と「現場でスムーズに使えること」の2つです。そのために、内容だけではなく、構成や見せ方にも工夫が必要です。
ここでは、インスペクションマニュアルを作成する際に押さえておきたいポイントや作り方のコツをご紹介していきます。
役に立つマニュアルはどう作る?
マニュアルを作成するにあたって、忘れてはいけないのは「現場で役に立つ内容にできているか」という視点です。そのため、デスク上だけで完結させず、現場のスタッフと一緒に内容をすり合わせながら作成していくのがおすすめです。
実際の作業工程を確認しながらチェック項目を洗い出していくことで、実態に合った抜けのないマニュアルを作ることができます。
また、表現にも注意が必要です。「確認する」や「整える」のような曖昧な言葉では、人によって受け取り方が分かれてしまうことがあります。例えば「エアコンを確認する」というだけではなく「電源が入るか・温度調節ができるか・冷暖房の切り替えができるか」と具体的なポイントまで書いておきましょう。
さらに、清掃マニュアルとインスペクションマニュアルの内容にずれがないように、ふたつの内容をすり合わせておくと、認識の違いも防ぐことができます。
多言語対応で安心して働ける環境づくり
「特定技能制度」の導入により、宿泊業でも外国籍のスタッフを採用するホテルが増えてきています。とはいえ、文化や言葉の違いから、マニュアルの内容が正確に伝わらないということもあります。誰にとってもわかりやすいマニュアルにするためには、伝え方や表現の工夫が欠かせません。
外国籍スタッフのすべてが英語を理解しているわけではないため、難しい言葉や曖昧な表現は避け、できるだけ具体的かつシンプルな表現を心がけましょう。英語版のほか、必要に応じて多言語でのチェックリストを用意しておくと安心ですね。
また、スタッフの母国語に対応した表記を取り入れることで、理解度が深まり、安心して働ける環境づくりにもつながります。文化や言葉の違いに配慮したマニュアルは、スタッフの理解を深めるだけでなく、業務に対する不安を軽減し、チームの連携を強める効果も期待できます。
目で見て伝える分かりやすいマニュアル
言葉だけでは伝わりにくい作業内容や仕上がりのイメージは、写真やイラスト、ピクトグラムなどを使って視覚的に共有するのが効果的です。例えば、スリッパの向きや置き場所なども、OK例とNG例の写真を並べるだけで、誰にでも直感的に理解できます。
日本語や英語を読むのが難しいスタッフにも伝わりやすくなるため、言語に頼らない工夫としても有効です。
さらに、最近では動画のマニュアルを活用するホテルも増えてきています。実際の動きや手順を映像で確認できるため、言葉や文字だけでは伝わりにくい部分も理解しやすく、効率的に業務を習得できます。
マニュアルを現場で長く活用するためには?

時間をかけて作成したマニュアルも、作っただけで満足してしまうと次第に使われなくなってしまったり、現場の実情と合わなくなったりすることがあります。清掃の質を保ち、マニュアルを長く活用していくためには、作成後の使い方や改善の工夫が不可欠です。
ここでは、マニュアルを作って終わりにしないために気を付けたいことをご紹介します。
スタッフの声を取り入れる
マニュアルを実用的なものにするためには、現場で使っているスタッフの声を反映させることが必要です。
わかりにくい項目や、作業上こうしたほうが確認しやすい、というリアルな意見には、マニュアルを改善するためのヒントがたくさん詰まっています。ミーティングの中で話を聞いたり、定期的にアンケートを実施したりすることで、現場からの声を集める機会を作りましょう。
そして、集まった意見すべてを反映はできなくても、対応できる部分から柔軟に取り入れていくことが大切です。スタッフの声を反映してアップデートしたマニュアルは、スタッフにとって使いやすいと感じられる、信頼できるツールに成長していきますよ。
定期的に内容を見直す
業務の流れや設備は、時間の経過で少しずつ変化していきます。だからこそ、マニュアルも一度作ったら終わりではなく、定期的に内容を見直していくことが大切です。見直しのタイミングや確認するポイントをあらかじめ決めておけば、無理なく継続的に更新できます。
- 繁忙期明けや新しいスタッフが配属されたとき
- クレームやトラブルが発生したときは、関連個所を修正する
- 半年~一年に一度など、定期的に修正するスケジュールを設ける
インスペクションマニュアルを活用して働きやすい環境に
今回は、ホテルのインスペクションマニュアルの作り方のコツや、現場で活用されるために改善していく方法などをご紹介してきました。いきなりインスペクターになるのはハードルが高いですが、客室清掃は未経験の方でも挑戦しやすい職種です。
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